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著者:吉岡剛彦 読み: ヨシオカタケヒコ題名:生きている〈遺体〉と、目玉焼き──死の周縁をめぐる法・科学・風俗発表情報:木原誠=吉岡剛彦=高橋良輔編『周縁学──〈九州/ヨーロッパ〉の近代[モデルネ]掘る』昭和堂 ページ: 276-311キーワード:概要:本稿では、2000年代以降に日本で頻発してきた「死体蘇生事件」に焦点を当てた。遺体をまだ生きている、あるいは生き返らせると称して独特の「治療」を施す一連の事件は、しばしば新興宗教の特異性や残された遺族の蒙昧の証として周縁化されてきた。だが、人間の死をめぐる判断の基準は、実は決して一義的なものではない。死者の葬送や、遺体への態度、そして脳死をめぐる昨今の議論にいたるまで、生/死の境界線はいつも時代のなかで揺れ動いている。むしろ、脳死の出現による心臓死の「失墜」は、生と死のあいだの隔壁が、法・科学・風俗のあやうい依存関係によってかろうじて保たれているに過ぎないことを明らかにしてきた。本稿では、生/死でさえも選択性と偶然性の産物にほかならないことを明るみに出すことで、我々の心中に深く根を下ろしている中心/周縁の自明性を打ち崩そうと試みた。抄録:英語フィールド
Author:Title:Announcement information: Page: 276-311