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著者:中尾優太朗、吉塚久記、浅見豊子、倉岡晃夫題名:足関節前方引き出しテストの肢位条件に関する機能解剖学的研究:慣性センサと伸縮性ひずみセンサを用いて発表情報:日本解剖学会第78回九州支部学術集会, 2022,10,29キーワード:概要:【目的】足関節捻挫に伴う前距腓靭帯(ATFL)損傷は最も一般的な外傷である。その診断には、足関節底屈位におけるAnterior drawer test(ADT)や Anterolateral drawer testが用いられている(Li et al., 2020)。一方、ATFLは足関節底屈だけでなく後足部内旋も制動することから、ADTの距骨前方移動量には後足部内旋も影響する可能性があるが、定量的データを示した先行研究はない。本研究の目的は、伸縮性ひずみセンサ(STR)と慣性センサ(IMU)を用いた新しい機能解剖学的解析手法により、後足部内旋がADTに及ぼす影響を明らかにすることである。
【方法】佐賀大学医学部に供された解剖体8体・11肢(死亡時年齢88 ± 6歳、男性4体、女性4体)を対象とした。膝関節で離断した標本のATFLを精密に剖出した後、足の長軸方向に沿ってSTR(C-STRETCH®:バンドー化学,東京)を脛骨前下縁と舟状骨に固定し、IMU(Wave Track, Cometa Str., Italia)を脛骨前面と中足部に設置した。IMUにより足関節・足部の関節角度を3軸で精密にモニターしながら、STRによりADT施行時の静電容量値(pF)の変化を計測し、距骨前方移動量(mm)を算出した。計測条件は、底屈30度(BL)、底屈30度・後足部内旋10度(Int)、それらにATFL切離(BL-D、Int-D)を加えた4条件とした。統計解析にはR4.2.1を使用し、後足部内旋とATFL切離の2要因に関する反復測定分散分析およびShaffer法を用いた。
【結果】各計測値は1.0 ± 0.8 mm(BL)、1.0 ± 0.9 mm(Int)、1.6 ± 1.6 mm(BL-D)、4.2 ± 1.5 mm(Int-D)であり、有意差はBLとBL-D(p < 0.05)、Int とInt-D(p < 0.001)、およびBL-DとInt-D(p < 0.001)の間に認められた。
【考察】足関節底屈・後足部内旋位ADTは、従来の足関節底屈位ADTよりも有意に距骨前方移動量が増大したことから、ATFL損傷時の高感度な検査肢位として関節動揺性をより正確に評価できる可能性が示唆された。抄録:英語フィールド
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