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著者:藤本 亮太, 村田 大紀, 中山 功一題名:Bio-3D-printing技術を用いて作製したscaffold-free脂肪組織由来幹細胞構造体により広範囲骨再生を目指す研究発表情報:第36回日本整形外科学会基礎学術集会(ハイブリッド開催), 2021,10,14-15(現地開催), 2021,11, 1-14(オンデマンド配信)キーワード:概要:【目的】外傷,悪性腫瘍,感染症などさまざまな要因によっ
て広範囲に及ぶ骨欠損が形成された場合,その治療として
まずは機能的な回復を目的とした再建が必須である.しか
し,欠損領域が大きいほど自家骨による再建が困難となる
場合が多いため,人工骨などの人工材料に頼らざるを得な
い.しかしながら,人工材料を用いた再建では,劣化,異
物反応,および,感染などさまざまな問題が起こる可能性
が指摘されている.そこで本実験では,これらの問題を根
本的に解決するために,人工材料を用いることなく細胞の
みで scaffold-free の三次元細胞構造体を作製し,構造体
を骨欠損部へと移植して骨組織を再生させることにより,
人工材料に代わる新たな再建技術を確立することを目指す
こととした.
【方法】ラットの皮下脂肪を採取して,脂肪由来間質細胞
(ADSCs)を分離した.継代培養を経て十分量の細胞が得
られたところで,3 系統分化誘導を行った.次に,得られ
た細胞を用いて spheroid を 作 製 し, 剣 山 式 Bio-3D
Printer を用いて円筒状の scaffold-free 細胞構造体を作製
した.また,作製した構造体について引張試験を行い,構
造体が移植実験に耐えうる強度を有するかどうかについて
の検証も行った.【結果】3 系統分化誘導実験において,
脂肪誘導では脂肪滴が確認され,軟骨誘導では軟骨基質の
産生が認められた.また,骨誘導ではカルシウムの沈着が
確認された.さらに,引張試験においては,作製後 15 日
目に 33.3 [kPa]の測定結果が得られた.【考察】採取し
た ADSCs では,脂肪細胞,軟骨細胞,骨芽細胞への分化
が認められ,作製した構造体では移植手術を想定したハン
ドリング操作も可能であることが確認された.ADSCs は
比較的低侵襲に採取することが可能であり,かつ,潤沢な
細胞ソースである.未分化な状態の細胞構造体を骨欠損部
に移植することにより,骨への分化が期待できるため,今
後は臨床応用に向けて動物への移植実験を行い,その有用
性を検討する.抄録:日本整形外科学会雑誌 95巻 8号 Page S1695英語フィールド
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