日本語フィールド
著者:見市 文香, Tam Vo Kha, Deloer Sharmina, 吉田 裕樹題名:赤痢アメーバ"含硫脂質代謝"を標的とする阻害剤の探索発表情報:脂質生化学研究 巻: 61 ページ: 177-179キーワード:概要:赤痢アメーバはヒトの大腸に感染し、アメーバ赤痢を引き起こす寄生原虫である。我々は赤痢アメーバの硫酸代謝の研究を行っている。硫酸代謝は生物界に普遍的に存在する重要な代謝経路である。これまでに、赤痢アメーバの硫酸代謝が含硫脂質代謝に特化し、6種類の含硫脂質が合成されることを見出している。そして合成される含硫脂質として、コレステロール硫酸と新規なfatty alcohol disulfatesを同定後、それぞれの機能解析を行った結果、fatty alcohol disulfatesが栄養体期の原虫の生存に、コレステロール硫酸がステージ移行であるシスト形成制御に必須な分子であることを見出した。以上のことから含硫脂質は生活環を通じて重要な代謝産物であり、その制御機構の解明は、寄生適応を知る、またアメーバ症治療薬の有用な標的を提示するうえで重要である。そこで、生物学的理解を深めるため、また薬剤開発に応用するために含硫脂質合成に必須な酵素APS kinaseを標的とする阻害剤探索を開始した。400化合物のスクリーニングを行った結果、15化合物がAPS kinase活性を阻害すること、さらに、その中の3化合物が赤痢アメーバ細胞内のAPS kinase活性の阻害に伴う含硫脂質の合成を阻害すること、その結果、栄養体増殖およびシスト形成を停止させることを見出した。以上のことから、赤痢アメーバにおける含硫脂質合成の重要性が明らかとなり、今後これら3化合物を用いて含硫脂質代謝産物が担う赤痢アメーバ生活環維持のための制御機構の全容解明を目指す。抄録:英語フィールド
Author:Title:Announcement information: Vol: 61 Page: 177-179