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著者:○北村 捷, 甲斐敬太, 田中智和, 井手貴雄, 上瀧さやか, 能城浩和, 末岡榮三朗, 相島慎一題名:嚢胞内容液中に異型を伴う反応性中皮細胞が出現し、良悪性判定が困難であった巨大肝嚢胞の1例発表情報:日本臨床細胞学会九州連合会雑誌 巻: 53 ページ: 73-77キーワード:概要:背景 反応性中皮細胞は時に強い核異型を呈し、しばしば良悪性の鑑別が問題となる。今回、腹腔鏡下肝嚢胞開窓術中に採取された嚢胞液に反応性中皮細胞が出現し、腺癌との鑑別が問題となった1例を経験した。症例 60歳代女性。肝右葉を占拠する長径17cm大の感染が疑われる肝嚢胞に対して、経皮的穿刺ドレナージが行われた。一旦嚢胞は縮小したが再増大したため、腹腔鏡下肝嚢胞開窓術が施行された。嚢胞開窓後に採取された肝嚢胞内容液が術中迅速細胞診に提出され、核腫大した異型細胞集塊を1ヶ所に認めた。出現数は少ないが腺癌を否定できない異型細胞と報告した。細胞診の結果を受け、肝右葉切除術が施行された。切除検体の組織学的検討において、嚢胞壁を被覆する上皮に異型は認められず、漿膜側に中皮マーカー陽性を示す反応性中皮細胞を多数認めた。迅速細胞診で悪性を疑った異型細胞は反応性中皮細胞であったと結論し、最終的に単純性肝嚢胞と診断した。結論 経皮的穿刺ドレナージの経歴から、反応性中皮細胞が出現しうる状況であることを認識していれば、迅速細胞診で正診に至った可能性がある。教訓的な症例であるため、ここに報告する。抄録:英語フィールド
Author:Title:Announcement information: Vol: 53 Page: 73-77