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著者：伊藤 孝太朗, 北島 吉彦, 松藤 祥平, 山田 浩平, 田中 智和, 甲斐 敬太, 能城 浩和題名：[P154] 一般演題154 胃・十二指腸:研究2 P154-2胃 胃癌におけるMatrix metalloproteinase-1発現と予後因子としての検討発表情報：第76回日本消化器外科学会総会（ハイブリッド開催）, 2021, 7, 7-9(現地参加及びライブ配信), 2021, 7,30- 8,31(オンデマンド配信), [P154] 一般演題154, 胃・十二指腸:研究2キーワード：概要：【背景】細胞外マトリックスの分解に密接に関連する酵素のファミリーであるMatrix metalloproteinase(MMP)は癌の浸潤や転移に関与する酵素と知られており，一部の癌ではその発現が腫瘍の進行への関連が指摘されているが，胃癌についてはいまだ不明な点が多い．
【目的】胃癌細胞株におけるMMP-1発現による浸潤能や増殖能への影響および胃癌患者におけるMMP-1発現の生存期間への影響を検討する．
【方法】胃癌細胞株である58As9，MKN45，MKN74を用いて，MMP-1の発現を調べ，MMP-1 knock down(MMP-1KD)株を作成し，浸潤能，増殖能への影響を評価した．MMP-1KD株をマウスへ皮下注射及び腹腔内注射を行い，腫瘍増殖能及び腹膜播種形成能について評価した．また，胃癌根治切除 161例の手術検体を用いて，免疫染色でMMP-1及びKi67の発現を評価し，生存期間などへの関連について検討を行った．
【結果】MKN45，MKN74と比し浸潤傾向の強い58As9では，MMP-1が高発現しており，低酸素環境にてMMP-1の発現が増強した．58As9においてMMP-1KD株では，癌浸潤能は低下した一方で，増殖能は有意に増加した．マウス移植モデルにおいてもMMP-1KD株の方が有意に皮下腫瘍の増殖能が高く，腹腔内注射モデルでもMMP-1KD株の方が腹膜播種も増大した．手術症例の検討では，MMP-1低発現群(n=40)はMMP-1高発現群(n=121)と比しKi67値は有意に高値であり，無再発生存期間(DFS)および疾患特異的生存期間(DSS)においてMMP-1の低発現群は有意に生存期間の増悪を認め(log rank test DFS:p=0.005, DSS:p=0.022)，多変量解析においてMMP-1の発現はDFS，DSSともに有意差を認めた(DFS:HR2.32(1.31-4.13)p=0.004，DSS:HR2.90(1.23-8.49)p=0.012)．
【結語】胃癌細胞株においてMMP-1の発現により浸潤能は増悪するが増殖能は抑制され，胃癌手術症例においてもMMP-1の高発現群は低発現群と比しDFS，DSSが良好であった．多変量解析においてもMMP-1の発現は独立予後規定因子であることが示唆された．抄録：オンライン抄録集英語フィールド
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