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【はじめに】IFPは消化管の粘膜下腫瘍の形態を呈する良性腫瘍で、胃に多く、小腸に発生することは比較的まれとされている。またその多くは腸重積にて緊急手術が施行され、切除標本の病理組織学的診断にて判明したものである。今回、体重減少を契機に発見されたIFPの1例を経験したので報告する。
【症例】70歳代,男性。2か月で3kgの体重減少あり、前医で施行された造影CT検査にて遠位回腸に3cm大の腫瘤性病変を認め、精査加療目的に当院紹介となった。小腸造影では、回盲部より十数cm口側に3cm大の表面平滑でなだらかな立ち上がりの隆起性病変を認めた。下部消化管内視鏡では、同部に約3cm大の粘膜下腫瘍様隆起を認め、頂部に浅い潰瘍を伴い、潰瘍周囲の粘膜は発赤調であった。GISTなど粘膜下腫瘍の自壊が疑われたが、術前生検での診断は困難であった。腹腔鏡下小腸部分切除術を施行され、病理組織診断にて紡錘形細胞の増生と線維粘液性の間質、リンパ球、形質細胞、好酸球などの炎症細胞浸潤、小血管の増生を認め、IFPと診断した。
【考察】IFPは亜有茎または有茎性の硬い粘膜下腫瘍の形態を呈し、頂部にびらんや潰瘍を伴いやすく、典型例では陰茎亀頭様として表現される。しかし、他の粘膜下腫瘍との鑑別は必ずしも容易ではなく、治療前の組織学的診断も困難なことが多いとされている。小腸の粘膜下腫瘍様病変では、本疾患も考慮すべきと思われた。