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著者:*坂田 佑理恵, 中村 拓自, 一ノ瀬 文男, 松尾 宗明題名:P-154.視床性失語を呈したMELASの1例発表情報:第63回日本小児神経学会学術集会(WEB開催), 2021, 5,27-29(ライブ・オンタイム配信), 2021, 6,24- 7,30(オンデマンド配信)キーワード:概要:【はじめに】ミトコンドリア脳筋症(MELAS)は脳卒中様発作を特徴としミトコンドリア病の中で最も頻度の高い臨床病型である.頭痛,嘔吐,視覚障害,意識障害,てんかん発作で発症し失語を伴う症例もある.今回,MELASでは稀な視床性失語を呈した1例を経験したので報告する.【症例】15歳女子.右利き.頭痛,嘔吐,右同名半盲,失語にて発症し頭部MRIで左後頭葉と左視床に異常信号を認めた.経過及び画像所見から脳卒中様発作と診断しアルギニン点滴などを開始した.糖尿病と難聴の母系家族歴,低身長,両側感音性難聴,A3243G変異を認め最終的にMELASと確定診断した.頭部MRIでは言語機能の責任病巣として一般的なブローカ野やウェルニッケ野には病変を認めず左視床枕にT2強調画像で高信号域を認めた.失語症状は緩徐に改善し入院11日目には病前と同程度に会話可能となり症状の再燃もみられなかった、MRIでは左視床病変は発症2週問で淡く範囲も縮小し発症1か月で完全に消失した.発症4か月後に再度の脳卒中様発作を呈した際には右後頭葉を主体とした病変であり失語症状は全くみられなかった,【考察】優位半球側の視床とブローカ野の間には機能的連絡が存在し,視床出血や梗塞などで失語症状を呈することがあり視床性失語と呼ばれる.解剖学的には視床内でも皮質の側頭頭頂葉に多くの投射線維連絡をもつ視床枕や視床腹側核の言語機能における役割が重要視されている.本症例は復唱が良好な運動性失語で超皮質性失語に分類でき優位側視床に病変を認め視床性失語と判断した.視床性失語の予後は良好とされ本症例でも比較的早期に完全に回復した.MELASの病変は後頭葉に多く失語合併は稀で既報告もブローカ野などの障害に伴う失語である.視床病変による失語を呈したMELAS症例は稀であり興味深い病態と考えた.抄録:脳と発達 53巻 Suppl. Page S336英語フィールド
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