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都市空間の変容と不動産 ー東京・日本橋三丁目を事例にー

発表形態:
一般講演(学術講演を含む)
主要業績:
主要業績
単著・共著:
単著
発表年月:
2012年03月
DOI:
会議属性:
国内会議
査読:
無し
リンク情報:

日本語フィールド

著者:
山下宗利 読み: ヤマシタムネトシ
題名:
都市空間の変容と不動産 ー東京・日本橋三丁目を事例にー
発表情報:
日本地理学会発表要旨集 号: 81 ページ: 94-94
キーワード:
空間利用、東京都心部、不動産、土地所有
概要:
本研究の目的は、都市空間の変容と不動産の変化との関連を明らかにすることである。東京都心部には高次な中枢管理機能とともに商業機能が集積し、あわせて各種の企業関連サービス機能がそれらの間隙を埋めるように立地している。東京都心部の空間は垂直的(階数別)かつ水平的に機能分化しながら、きわめて混在した様相を呈している。東京都心部の商業用地の地価は1980年代後半のバブル経済期に著しく高騰したが、バブル崩壊後の日本経済は「失われた10年」を経験した。その後の不動産市況は2000年前後からの海外の投資資金の流入とともに一時活発になったが、「リーマンショック」により大きく落ち込んでいる。このような状況の中で東京都心部においてはいくつかの大規模な再開発事業がなされ、土地の局地的な価値の差異が顕在化している。本研究では、1980年代後半と現在の空間利用を比較するとともに、空間利用の変容の大きな要因となる不動産の変化、とくに土地所有の変化を検討し、両者の関連を見出した。
抄録:
 主たる研究対象地域は東京都中央区日本橋三丁目6番地である。この小さなブロックの西端は中央通りに面し、3ブロック北には日本橋高島屋が店舗を構えている。東京駅八重洲口にも近接し、金融・保険機関とともに多数の商業施設が立地している。発表者の山下は1987年当時に当該地域を対象として階数別の空間利用調査を実施しており、これらの既存データを比較検討に用いた。また不動産の所有とその変化に関しては登記簿データを用いた。  1987年と現在の日本橋三丁目6番地の空間利用を比較したところ、以下の変化を特記することができる。それは、空間利用の純化である。当時は中央通り沿いとその東側では空間利用に大きな違いを看取できた。表通りの金融機関に対して、ブロックの中央部には木造2階建ての小規模な建物が塊状に集中し、これらは主に飲食店として利用されていた。また倉庫や青空駐車場といった低未利用地も多く、1階の利用はきわめて混在していた。しかし階数の増加とともに空間利用はオフィスへと純化する傾向にあった。現在では多くの木造建物は再開発事業(日本橋フロント、2008年5月竣工)によって大規模な建物に置き換えられ、大企業のオフィスが入居している。ブロックの東側においても同様に高層化が生じ、低層階の商業的利用と上層階での居住利用の組合わせがある。またワンルームマンションの立地もみられ、新たな空間利用も出現している。低未利用地の減少とともに表通りと裏通りの差異がより鮮明になっている。  研究対象地域における土地所有者の属性を分析すると、1986年頃までは土地所有に大きな変化は認められなかったが、その後は個人から法人への変化が生じている。地価高騰時に相続物納や売買、競売を通して不動産会社に所有権が移転した事例が多い。現在ではブロックの西半分の土地は複数の企業が所有している。この土地での再開発事業には土地信託制度が活用され、共同化手法を用いて敷地を整形し、建物を大型化することにより、土地の有効活用を図っている。このように対象地域の表通りでは、大規模なオフィス空間が出現し、一方の裏通りでは当該地で店舗を営む個人所有地が依然として卓越し、小規模な商業的な利用と居住利用が卓越している。この地域の空間利用に対しては地区計画の制度が適用されており、行政の誘導による都心空間の創出も見逃せないものとなっている。

英語フィールド

Author:
YAMASHITA, Munetoshi
Title:
Urban changes and real estate in the center of Tokyo
Announcement information:
Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers Issue: 81 Page: 94-94
Keyword:
spatial utilization, center of Tokyo, real estate, land ownership


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