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第Ⅰ章なぜ医師は発熱の診療が苦手なのか, 第Ⅱ章発熱(およびバイタルサイン)総論, 第Ⅲ章診断アプローチ:考え方, 第Ⅳ章問診と診察, 第Ⅴ章外来患者さんの発熱~不明熱, 第Ⅵ章入院患者さんの発熱, 第Ⅶ章発熱の鑑別における一次検査の重要性, おわりに 発熱診療・学習の要約

発表形態:
著書
主要業績:
主要業績
単著・共著:
単著
発表年月:
2022年02月
DOI:
会議属性:
指定なし
査読:
リンク情報:

日本語フィールド

著者:
青木洋介
題名:
第Ⅰ章なぜ医師は発熱の診療が苦手なのか, 第Ⅱ章発熱(およびバイタルサイン)総論, 第Ⅲ章診断アプローチ:考え方, 第Ⅳ章問診と診察, 第Ⅴ章外来患者さんの発熱~不明熱, 第Ⅵ章入院患者さんの発熱, 第Ⅶ章発熱の鑑別における一次検査の重要性, おわりに 発熱診療・学習の要約
発表情報:
発熱の診かた・考えかた・向き合いかた : 診療の心構えから鑑別のアプローチ, 診断エラーにつながるピットフォールまで
キーワード:
概要:
はじめに  1984年に医学部を卒業して間もなく,「カテ熱」や「吸収熱」というあまり科学的でない,しかし今振り返ると大きな間違いでもないベッドサイド用語が普通に使われていました。それらの原因をあまり深く考えたことはなかったように思います。そして,もう自分が忘れているだけで,発熱に対して抗菌薬を処方するということに疑問を抱くこともなく,患者さんのケアをしていたかもしれません。  しかし,2000年に呼吸器内科から感染症コンサルテーション診療にシフトしてからは,発熱を有する患者さんを診る機会が当然ながら多くなりました。熱があるのは患者さんにもわかりますから,医師にとってはプレッシャーです。主治医のみでなく,相談を受けたコンサルタントとしても気になるのが患者さんの発熱です。熱が治まらない限り,コンサルタントとしての問題解決を示すことができていない,というとややオーバーですが,“解熱”を待ち望んでいるに違いない主治医からの信頼感が薄れていくのではないかと気になります。  経過観察あるいは解熱剤処方で対応してよい発熱と,すぐに問題解決を図るべき発熱,という二つのタイプがあることを経験的にわかっていたものの,系統立てて考えようとしていなかったであろう2007年のことです。感染症の勉強のために購読していたInfectious Disease Clinics of North Americaに『不明熱』(Fever of Unknown Origin)の特集号が組まれました。このguest editorであったBurke A. Cunha先生の「発熱患者の診療アプローチにおける一般検査の有用性」を読み,これこそが臨床の叡知! と強く思いました。  そして,実はそれ以前にCunha先生がinforma healthcare社から同様の本を出版なさっていたことを知り,早速買いました。深緑色のハードカバーで,表紙の上半分に黒の背景に金色の文字で「Fever of Unknown Origin edited by Burke A. Cunha」と書かれているこの指南書には,悪性腫瘍における発熱,肝硬変を有する患者さんの発熱,リウマチ性疾患,高齢,入院中,術後,それぞれのカテゴリーに属する患者さんの発熱,等々について詳細な記載がなされており,非常に感銘を受けました。感銘を受ける本というのは,読み進むごとに自分のなかに新たな知識が定着し,視界が広がっていくことを実感させてくれる本,と表現してもよいと思います。  この本を読みながら,あるいは読み終えた後も,私の日常診療の守備範囲で大きなエリアを占める入院患者さんの発熱について,TPRシートを見ながら診療してきました。菌血症をきたして亡くなった進行癌の患者さんの熱型,輸血・手術・薬剤投与による,あるいは,これら二つの因子が関与していると思われる発熱など,機序的には比較的限られているとはいえ,多くの患者さんの発熱を診る機会がありました。  私のみではありません。多くの医師が自分の患者さんに認められる発熱と日々格闘しています。発熱という新たな問題が起きるのは,医師にとって何かとネガティブに作用します。急に沸き起こった新たな問題は,その患者さん以外の方のケアにおいても,そして自分自身の精神衛生の観点からもよい影響を及ぼすことはありません。  臨床の現場で圧力に感じるさまざまな出来事が起きたり,急に仕事が降ってきたり,ほかの患者さんの容態が変化したり,私生活で頭を悩ませることが生じたり……。勉強会やケースカンファレンスではスラスラと意見を述べることができても,現実の世界では,ときに日常の診療が医師にとって容赦のないものに映ります。その背景にはどのような要因や環境があり自分の内外で作用しているのか,ということを知り,容赦なく医師にプレッシャーをかけてくるかのような現実世界の苦難をかわしながら,自分のもてる臨床力をそのまま発揮できる能力を養うことが必要だ,と考えました。これが,本書を書こうと思った原動力です。  本書が,発熱を有する患者さんの診療にあたる医師―おそらくすべての臨床医の皆さん―にとって,診断アプローチのoverviewを把握する一助となることを願っています。また,発熱診療に関する知識ベースの系統的な構築に加え,日常における医師の心的ストレスの解剖に基づくメンタルヘルスの維持においても,お役に立つことができるのではないかと思っています。  本書を書き始めて数カ月が経過したころ,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的パンデミックが発生しました。私自身の本来の職務が感染症診療,感染対策であるため,この有事的感染症に対する院内外の用務に駆け回ることが多く,執筆作業が幾度も,中~長期にわたり中断しました。  この間,辛抱強く,何度もお待ちいただいたメジカルビュー社の山田麻祐子様,加賀智子様,石田奈緒美様に心から感謝申し上げます。COVID-19の第4波の初期あたりでしょうか。横浜で開催された日本感染症学会・化学療法学会の合同開催の地にも,市ヶ谷から足を運んで励ましと労いのお言葉をかけていただきました。  なお,今回も前著「ちょっと待った! その抗菌薬はいりません」と同様に,体の動きや,豊かな(?)顔の表情で私の拙稿を補って,ユーモラスに解説してくれているピヨちゃんに活躍してもらったことにも感謝いたします。
抄録:

英語フィールド

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